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8.後編
「――目が覚めたか?」 気がつくと見知らぬ場所に横たわっていた。何があったのか思い返す気力もなく、ただ瞼を上げただけの何も意識できない瞳で呆然と天上を見つめる... -
9.
久しく顔を合わせていない恩人の血に連なる者が眼前に在るというだけで懐かしさが込み上げてくるのだから、人間という生き物は存外単純にできている。 両親を亡くし... -
8.前編
日常と非日常の間に境目を見い出すことはひどく難しい。悟る由もなくその線を踏み越えて、自分がいま後者のなかに在ると気づいたときにはもう、ひとは何かを失ってい... -
7.
五つの感覚と一つの直感を持ち前の才で研ぎ澄ませて他人に与える印象まで慎重に選び抜くタイプの人間は、焦りや動揺に触発されてつい口にしてしまった本心を咄嗟にカ... -
6.
人工的な灯りを消せば己の手の所在も掴めないような暗闇のなか、月明かりを頼りに歩き進めた。 合格の要となるプレートは二枚、あるいはそれ以上。私のターゲットは... -
それいけ!スケット団
「ヒメコ、茶」 読みかけの単行本に視線を落としたまま、そう言った。……が、しばらく待っても、彼女の立ち上がる気配と共に届くいつもの返事は聞こえてこなかった。な... -
七、
今日も授業はいつも通り滞りなく終わり、日課の自主鍛練は文次郎たちといつもより多目にこなした。知らないうちに季節は移ろい、日は少しずつ長くなっている。それか... -
六、
ここのところ、すっきりしない天気が続いていたけれども、その日は朝から透きとおるような青空が広がっていた。のこころもそれと同じくらい晴れやかであった。半助に... -
五、
困ったことになった。 そうおもっているのは半助だけで、のほうはちっとも構う様子を見せない。それがさらに彼を困らせる結果となった。匿われている身とはいえ、一... -
四、
生徒たちのいらぬ詮索をさけるためか、はじめこそ無闇な行動を控えていた彼女であったが、噂がひととおり学園になじんだ頃、おそるおそるといった様子で生徒の前に出...